城島のエツ|エツ料理解禁 2008年5月1日(木)~7月20日(日)

この時期、そしてこの地に許された貴重で希少な魚、エツ

久留米市城島町のエツが格別にうまい理由は淡水と海水が混じる筑後川の汽水域にあります。

特に6月のエツは脂がのって絶品!

エツに本場があるとすれば、それは城島を置いてほかにはありません。その理由は筑後川にあります。城島は筑後川の河口から少し上流に位置しているため、川は淡水と海水が混じり合い極度に塩分濃度が低い「汽水域」を成します。本来、カタクチイワシ科のエツは有明海に棲む海水魚。不思議なことに汽水域でしか産卵、孵化できないという生態のため筑後川をめざします。そのとき、エツのからだに変化が起こります。海水にいるあいだは身は薄く骨は硬いのが筑後川を遡上し汽水域に入ると、身は厚く骨はやわらかくなります。この微妙な塩分濃度が、エツを食べごろの魚に変身させるというのです。これこそが、城島のエツが最高といわれる所以です。

同じ筑後川の水で醸造した城島の地酒といっしょに味わうエツ料理は、また格別の味わいです。まさにこの時期、ここでしか味わうことのできない至福の食体験ができるというわけです。

久留米市城島町に伝わるエツ誕生の伝説 弘法大師が投げたヨシの葉がエツに変わった

エツ大師堂

▲エツ大師堂

有明海に棲息しているエツが、なぜ筑後川だけをめざし城島まで遡上するのか。その謎をひもとく逸話が地元に伝説として残っています。

その昔、ある一人の僧侶が有明海から筑後川を上って城島に入り、対岸の肥前に渡ろうとしました。しかし金を持たない僧侶は船に乗れず途方に暮れていると、一人の貧しい漁師が不憫に思って船を出し、対岸へ渡してやったといいます。僧侶がそのお礼にと、岸辺のヨシの葉をちぎって川に投げ込んだところ、それがエツに姿を変え、以後、町は毎年この時期を迎えるとエツ漁で賑わったそうです。このときの僧侶が弘法大師であったといわれ、地域の人々は「エツ大師堂」を建て弘法大師を手厚く祭り、千年の時を経た今もなおエツの恵みに感謝を忘れないといいます。善行が福を呼ぶというこの伝説を重んじる地元の漁業関係者は、水を浄化するヨシと川辺の環境整備を行い、エツの乱獲を防ぐなど固体の資源保護にも取り組んでいます。